No.048
矯めなおしについて
2004/03

矢の製作や修理の為、箆及びアルミシャフトの曲がりの直し作業を矯めなおしと呼んで、その時矯め木(ためき)という道具を使用します。矯めなおしと矯め木の説明の前にまず、竹矢の箆の製先の工程を簡単に説明します。

  1. 竹切り・・・秋彼岸過ぎに竹切りをし、六ケ月程自然乾燥させたものを長さと4箇所の節を揃えて切る。
  2. 荒矯め・・・炭を焚いた釜の中で焙り、しごきながら竹の曲がりの癖を取る。
  3. 節・皮を削る・・・重さや箆張りを調整しながら節や皮を削る。
  4. コソゲ・・・コソゲ包丁という刃物で箆の表面を削る。
  5. 石洗い・・・砂を磨き粉として二つの平らな石の間に2本の竹を挟み磨く。
  6. 節抜き・・・次に釜に入れた時、竹の破裂を防ぐ為に節に穴を飽ける。
  7. 本火入れ・・・箆を焙り、矯めながら全体にこげ色を均一に付けていく。
  8. 磨き・・・水ペーパーと木賊(とくさーシダ植物の一種)を使い、仕上げの磨きにする。
  9. 重さ・・・重心の調整
  10. 置き矯め・・・羽根を矧ぐ前にもう一度矯める。

以上が羽根付け前の工程です。上記の中で矯め直しをするのは2、7、10の工程です。

矢で重要な事は、1.真直性 2.均一な重量 3.張強度(箆張り)です。当社で販売しているアルミシャフトはアーチェリーのオリンピック競技で90%以上の選手が使用しているEASTON社のもので、真直性には問題ありませんが、使用時の生じた曲がり(的枠にぶつけたり、搬送中に引っ掛けたりした場合になる)が在る時に矯め直しをします。ただアルミ矢の場合は、竹矢と比べると結構腕力が必要な為、一杯矯め直しする後は、肩こりや筋肉痛に悩まされます。また竹(箆)は通常4箇所の節があり、矯める時ここから折れる事が9割を占めるため、節を気遣いながら矯め直しをします。

さて矯め木ですが、他の道具と同様自分で木を削って作ります。材質(樫や桐、ほうの木などの硬さの異なる物)や溝(箆をはさむ)の角度を変え、それぞれの状況に応じて使い分けます。矯め直しの際曲がりの具合を見る為に、矢を体に対して表面の光の筋(なるべく自然光で)を目線で追えるように構えて持ちます。その時、曲がってる箇所では、光の筋が直線では無く、同じ方向に曲がって見えます。皆さんも自分の矢で光の筋をご覧になってみて下さい。綺麗な直線を描いてますか? 私事ですが、最近、近視と遠視(老眼?)が同居し、おまけに左右の視力もかなり違う為、眼鏡を付けたり外したりして見、苦労してやって居ます。妻からは、笑われながら「遠近両用のコンタクトにしたら?」などと勝手な事を言われてます。

以上、矯め直しについて述べましたが、曲がった矢を使用していると矢飛びや的中にも大きく影響が出てきます。ですから、弓具の手入れの一つとして、曲がりのチェックを忘れずに心がけてください。

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