No.032
かけのできるまで(2)
2003/10
佐藤 仁彦

先月、今月とカケの製作工程を紹介致します。

4.木帽子、二の腰

注文の大きさになる様に桜の木を削り出し、親指の木部(以下、木帽子)とします。牛の皮を基礎として二の腰を木帽子に貼付けます。この時も注文に合わせ厚さ、硬さを調整します。形を整えた後、上から帽子皮を張り付け、親指の腹の部分を縫い合わせます。

5.親指接着

台皮に親指を接着します。親指の向きはこの時決まります。控えの大きさ、形を切り整えた後、控えの表になる皮を貼付け、縫い合わせます。縁取りもこの時縫い付けます。

6.腹皮、捻り皮

弦道を取り付けた後、腹皮、捻り皮を貼り、縫い付けます。この部分は最も負担がかかる場所なので、鹿皮でも一番丈夫な部分を用います。仕上がりの美しさはこの縫いがうまく行くかどうかにかかってくる為、気を使う作業でもあります。

7.仕上げ

コテで形を整え、小紐、紐通しを取り付け、ようやく完成となります。

全工程を通して難しい事は、形を整える時に当てるコテの温度を使い分ける事です。当てるコテの温度が高いと皮は収縮し、低温だと柔らかくなり伸びやすくなります。この温度の使い分けは経験に頼らざるを得ません。

カケの取り扱いについて

新しいカケを用いる時は先ず取りかけの形を作った後、紐はいっぱいに締めずに巻き、楽に取りかけが出来る様にして下さい。新しいカケに早くなれる事ができ、親指の付け根が折れる事を防ぎ、長く使用できます。また、ギリ粉は一度に沢山付けずに、少量ずつこまめに付ける様にして下さい。

使用中は下ガケを(夏場は特に)こまめに替え、使用後は日陰の風通しの良い所に吊す等して、カケにとって良い状態を保つ様にして下さい。一度カビが生えてしまうと二度ととれることはありません。また、ほころび等が起きてしまった場合、ご自分で修理せずになるべく早めにお買い上げの弓具店に修理に出して下さい。接着が剥がれ、応急処置が必要な時はご飯粒をよく練って接着して下さい。

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033 和弓の材料としての竹(1)
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037 ヤダケについて
038 北本市の桜
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041 暑中見舞い申し上げます
042 イーストン社・HOYT社工場見学
043 鷹狩り
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045 阿蘇の流鏑馬
046 2005年 新年のご挨拶
047 新文字入り弓巻
048 矯めなおしについて
049 新装開店致しました(1)
050 新装開店致しました(2)
051 2007年 新年のご挨拶
052 合串について