No.027
道具の手入れ方法
2003/05
塙 寛子

弓具の手入れの方法は皆様工夫し、いろいろあるかと思います。 しかし、中には間違った手入れを行っているために、かえって道具を傷めてしまうこともあります。新学期にあたり、これから道具を揃える方や、今までの手入れ方法であっているか心配な方、 改めて道具の手入れの参考にしてください。

【弓道着】

上着・足袋はマメに洗濯することが基本です。上着や足袋は常に白く、綺麗なものを身につけて下さい。

袴はなじみがなく、手入れ方法が分からない方もいらっしゃるかと思います。 タオルに水で薄めた洗剤を染み込ませて固く絞り、全体の汚れをこすり取ってください。少々の汚れでしたら、部分的につまんで洗うだけで充分です。汚れがひどい場合はクリーニングに出してください。

但し、クリーニング屋によっては、袴の扱いが慣れていないため、ひだが二重になって畳まれてしまうことがあります。出す前にクリーニング屋さんとよく相談してください。

  • 袴が新しいうちに、ひだの裏をミシンで縫っておくと洗濯するときにもたたむ時にも便利です。
  • 小山弓具では、ひだの裏をミシンで縫った袴を昨年より販売しておりますが、大変好評です。

【かけ】

かけは『かけがえのない』という言葉の語源となるように、道具のなかでも大切なものです。 長く使うためにはやはり扱いを慎重に行ってください。

日頃の扱い方

  • 使用後は、かけを開いた状態で陰干にしてください。かけの革は鹿革で湿気により雑菌やカビが繁殖します。縫糸が腐食し、ほころびの原因の一つとなります。また、使って汗が染みた下がけと一緒にするのもよくありません。練習中も下がけが湿ってきたらこまめに取り替えてください。
  • かけは通気性の良い袋(木綿)等にいれて保管してください。合成革の鞄や、缶・タッパー容器に入れている方も いらっしゃいますが、通気性が悪いのでお勧めできません。また、中に過度の除湿剤をいれることも良くありません。除湿されすぎて、カケがカサカサになり革が硬くなってしまうことや、除湿剤の袋が破れ、かけに薬品が付いてしまうことがあります。
  • 革が硬くなってしまったかけは、針が刺さらないため修理ができません。缶などに入れるのは移動のとき(形をくずさないため)程度にし、なるべく通気性の良い状態で保管してください。

修理等

  • かけの修理はむやみに自己流で行わないようにしてください。適さない接着剤等で補強した為に、 革が変質し針が通らなくなってしまうことがあります。
  • かけの革が少しはがれたら木工ボンドで接着してください。また、穴があいた時は握り革などで補強し、木工ボンドで接着することも良いでしょう。出来れば早めにお買い求めの弓具店にお持ちいただき、相談してください。
  • かけが黒くなってくるのはぎり粉の油分の為です。一度につけるギリ粉の量が多いため、余分な粉の油がかけを黒くしてしまいます。一度黒くなってしまった革を元に戻すことは不可能です。 砂消しゴムで軽くこするようにすると多少は汚れがとれます。シンナー等の石油系溶剤で取ると、ヤニが革に染み込み、硬くなってしまいます。

【アルミ矢】

矢の修理もかけ同様、自己流で行ったために返って弓具店での修理ができなくなる場合もあります。 ただ、筈、根の交換等手 入れの一環として自分で出来ることはなるべく自分で行うようにして下さい。

  1. 羽根がバラバラになってきたら湯のしをしてください。羽根に水蒸気をあてることによって羽根が綺麗になります。ただし、やり過 ぎると軸の接着がはがれ、羽根うきになってしまうので注意してください。(羽根うきは雨天での練習後、矢をきちんと拭かない時などに起こります。矢羽根用防水パウダーを予めかけておくのも良い方法だと思います。)
  2. はぎ糸がほつれてきたら、木工ボンドとニスでとめてください。はぎ糸は羽根の保護及び補強の意味も ありますので、そのままにしておくのは矢の羽根の寿命を短くします。糸が完全にとれてしまったら、絹糸をまくか、紙(千代紙等)を巻いてから、木工ボンドとニス等で補強してください。(透明マニキュアでも代用できます)
  3. 矢筒は矢の長さに合ったものを選んでください。矢が矢筒よりだいぶ短い場合は、底に布などをつめて取りだし易い位置まで底上げしてください。そうすれば取り出す度に矢羽根を傷つけることはありません。また、矢筒から矢を1本だけ取り出す場合でも一度逆さまにして全ての矢を出してください。1本だけ出そうとすると、矢羽根を逆撫ですることになるので、羽根を痛めてしまいます。
  4. 他にも籐製矢筒の蓋が傷んできたら、木工ボンドを薄く塗れば補強になります。 竹矢は矢先が磨り減って来たら、ニスを塗ると補強になります。

道具やその手入れ方法は他にも色々あるかと思いますが、今回は新学期の新入部員への基本としてとりあげて みました。他に、弓(握革の巻き方)、その他修理等は、小山弓具の仕事場を見学できますので、修理を依頼される場合には、是非仕事場を見学していただき、ご自分でも修理をできるようにしてください。

但し、中にはお預かり、または修理不能の場合もありますのでご容赦ください。また、他店で購入された商品は素材や接着剤の違いや、また職人によって特徴があるので手をつけられず、お断りする場合もありますのでご理解ください。

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002 職人の独り言(1)
003 温故知新「炭素繊維について」
004 弓と竹の話
005 夏のカケの手入れ方法
006 握り皮の話とフビライの妻の話
007 近代の系譜
008 テレビ放映
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012 竹取りの感想・籐について
013 日本の弓
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017 竹切り後の作業工程について
018 小笠原流の弓(1)
019 小笠原流式竹矢の製作行程
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021 くすねの使い方
022 環境問題と弓具
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028 神田の話
029 弓書の限界について
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031 かけのできるまで(1)
032 かけのできるまで(2)
033 和弓の材料としての竹(1)
034 和弓の材料としての竹(2)
035 2004年 新年のご挨拶
036 袴の色々
037 ヤダケについて
038 北本市の桜
039 初心者の弓具の選び方
040 東京都インターハイ予選
041 暑中見舞い申し上げます
042 イーストン社・HOYT社工場見学
043 鷹狩り
044 埼玉まごころ国体にて
045 阿蘇の流鏑馬
046 2005年 新年のご挨拶
047 新文字入り弓巻
048 矯めなおしについて
049 新装開店致しました(1)
050 新装開店致しました(2)
051 2007年 新年のご挨拶
052 合串について