No.021
くすねの使い方
2002/11
山﨑 智美

今回は皆様が使っている『くすね』の使い方について書きます。知っている方もたくさんいらっしゃいますが、いまいち使い方のわからない方も多いと思います。人により使い方もさまざまだと思いますが、参考として読んでいただければ幸いです。

くすねは弦の補強や、接着剤などに使います。現在小山弓具では、季節により春秋用・夏用・冬用と、油の調節をした状態でチューブに入って販売しております。使うときに出にくい場合には湯煎していただきますと柔らかくなり出やすくなります。

まず、弦に使うとき…

弦には化学繊維による合成弦と、天然の麻弦があります。

合成弦は1本の繊維が長くできているため、毎回くすねをつけなくても大丈夫です。

麻弦にくすねとわらじを使う理由は、弦を作る工程にあります。元麻は繊維が2mほどと短く、また植物繊維の特徴で元が太く、先が細いので、太さが安定していません。その為少しずつ継ぎ足し、より合わせて作ります。(細かい工程ははぶかせていただきます)より合わせた後、毛羽立ちますので仕上げの工程でくすねを使いなじませます。また使っていくうちに毛羽立ちますので、くすねを付けてわらじをかけます。わらじをかけると熱が発生してついていたくすねが柔らかくなり、染み込んでなじみます。くすねが麻繊維の間に入って強くなりますので、少しでも丈夫さを保つ為にはくすねでのメンテナンスが必要です。

使い方

  1. 竹のへらや、皮などにくすねを出します。
  2. 弦にすり込みます。
  3. わらじを丁寧にかけます。

次に接着剤として…

くすねは接着剤としても使えます。にぎりを巻いたり、中仕掛けを作ったり、籐を巻く時にも使えます。
中仕掛けを作る時は、弦にクスネを付け、それから中仕掛けの材料である繊維(麻・合成等)を巻き付けます。
握り皮を作る時には、昔は握り皮の真ん中にくすねを付けて巻きましたが、今はボンドなどで代用している方が多いようです。くすねで握り皮を巻く利点は、握りが硬くできることです。ボンドは液状ののりの為すべりやすく、強く引こうとすると握りが動いてしまいます。
籐を巻くときは、最初に付けて巻き終わりにも付けます。時には巻いている途中につけるときもあります。

使い方はおわかりになりましたでしょうか?特に麻弦にかかせないくすねですのでこれを機におおいに利用してください。

格言に『手薬煉(てぐすね)を引く』という言葉がありますが、戦場で弓を引く前に弓を滑らせることなく、弓返りをさせずに矢番えを早く打ち損じない為に弓手にくすねをつけ用意をすることから、十分に準備して機会を待つという意味です。

今では主に、弦の補強として使っていますが、昔の人にとっては生きるか死ぬかの瀬戸際の中、共に戦っていた道具でした。

上段:くすねを付けたへら

くすねを弦に直接つけるのではなく、へらや皮などにつけて使います。 握り皮や籐を巻くときにもへらにくすねをつけておくと便利です。

中段:チューブ入りくすね

季節によって硬さをかえたものを販売しております(¥400) 硬い場合は湯煎してお使い下さい。

下段:麻(左) 道宝(中央) わらじ(右)
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