No.017
竹切り後の作業工程について
2002/07
田中 けいこ

今月は弓の材料となる竹の竹切り後の作業工程についてお話をしたいと思います。

小山弓具では独自の方法で弓の材料を生産しています。 皆様もご存じと思いますが、弓は真竹という竹(3年目の真竹)を使用しております。また、良い弓を作るには厳選された竹(太さ、色、節の間隔等)を使用しなければなりません。その竹を私達は丹精込めて加工しております。

まずは竹干の作業から入ります。四つ割に切った芽通り竹(芽竹または目竹といいます)を丁寧に棚に並べ天日干しにします。竹干期間は11月頃~5月頃までですが、その年によっては雨や風、雪等の天候に左右されます。朝夕毎日のシートかけやシートはずし等、長期間管理するには色々と苦労があります。最初は裏側(内側)から干し、皮側の青みがある程度とれたら次は皮面を上にして青みがとれ、白っぽくなるまで完全に乾燥させます。

次に竹焼きの工程にはいります。ここではまず油抜きという作業があります。簡単に言えば皮面の表面をきれいにするのが目的です。2枚ずつ炭火の上を通し浮き上がった油をふき取る作業です。竹がとても熱く、皮手袋を通してその熱さが肌に伝わるほどです。500度近い温度ですので初夏にさしかかる頃になると汗が吹き出してとても大変です。

油抜きの作業が終われば、1枚1枚見て、右カーブ、左カーブを確認しながらこれを内竹用、外竹用に分別します。(下記右図) 表面が綺麗な内竹は煤(すす)竹にするため「燻(いぶ)しの室」に1年ほど入れます。その他分別した竹はやや出来上がりの幅に幅落とし、内竹、外竹それぞれの用途に合わせて焦がし具合を注意しながら進めていきます。内竹の場合は反発力を高めるため、こんがりと焦げ目を付けて裏も焼きます。外竹の場合は弦を張った時伸びる側なので表はあまり焼きを入れず、裏だけを焼きます。

竹は、生きものであるので全てが同じように焼き上がるとは限りません。だからこの段階での作業が一番神経を要します。これに伴い芯材の焦がし具合も重要になってきます。時間をかけて焦がすため長時間を要します。

以上が内竹、外竹、芯材ができる工程です。このように竹干し、竹焼きは弓を作る作業工程の中で大切で根気のいる作業です。 ここでいう「焦がす」ということは「炭化させる」ということで現在の清芳(カーボン入り竹弓)や直心カーボンなどにつながる先人の知恵であります。

上記からお分かり頂けますように、現場で働く者としては皆様方に良い弓をお届けするために、日々頑張っております。

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