No.012
竹取りの感想・籐について
2002/02
米沢 恵

*昨年の7月にコラムで竹取の一般参加者を募ったところ何人かの方が参加してくれました。その中で創価大学の立石さんが感想を寄せてくれましたので、紹介しようと思います。

こんにちは

創価大学の立石福太郎です。大変遅くなりましたが、竹取の感想を送らせていただきます。

今回、竹取りに参加させていただいてありがとうございました。普段は製品として購入させていただく弓具の、工程というか裏側の日頃知らない部分を見ることができ、又お話を聞けたことは非常に面白かったです。この寒い時期にしか出来ない竹取を毎週行かれるご苦労を考えると、自分たちの使う道具に無頓着でいたくはないと思いました。

これからもこのような体験ができる機会を催していただけるなら是非参加したいですし、もっと多くの人が体験し、弓具、職人さんについて知っていくべきではないかと思いました。今回は本当にありがとう御座いました。今年は社会人になるため忙しくなると思いますが、弓道は続けていきたいと思ってますのでこれからも宜しくお願いします。

籐は、弓以外にも家具や調度品など普段から親しまれています。皇室でも籐製のベビーベット一台を修繕しながら何十年と使用されていることを、先日テレビで知りました。

さて、籐(ラタン)は元々どこでどの様に育っているのかご存じですか?それは椰子科の木で熱帯雨林に自生し、色も竹のように青々として、枝や葉の裏に無数のトゲがあります。それが他の樹木にからみつきながらどんどん成長し、ときに数百メートルにも及ぶそうです。なんと生命力に溢れた植物でしょう。その中で弓に使うのは、直径十数ミリ程度の物です。ただ、今日、良質な材料の確保が非常にむずかしく、また原産国が国内で加工し製品にして輸出することを推励し、原木での輸出を制限しています。

次に弓用に加工した籐の種類ですが、甲白矢ズリ籐、甲白細籐、これらは本装束や重籐弓などに、一文字籐、切りツメ籐は仮装束にと、おおよそこの四種類になります。これらは全部表皮が使われ、非常に丈夫で引っ張った位ではなかなか切れません。

作り方はまず、節部を小刀を使って平らにし、縦方向に四つ割、細籐は八割にします。それを甲白矢ズリ籐は肉部を平らに厚くとり、他は薄くとります。次に木の座に二本の小刀の刃を内側に突き立て、その間に籐を通し徐々に間隔を狭めながら幅を落としていきます。更に甲白籐、細籐は面取もしますので手間も大変です。文章にするとこの様になるのですが、相当に熟練が必要です。昔の弓を見る機会があったら、籐にも注意をはらって下さい。細かいところはまるで糸を巻いているみたいです。その細工たるや神業です。

最近、弓に巻いてある籐が真っ白な物がみられます。薬品によって漂白されているとの事、おそらく丈夫さも半減するでしょうし、本来持っている自然の色合いがそこなわれている気がするのですが、そう思うのは私だけでしょうか。私たちが山へ行って切り出した真竹の加工も、その素材を生かす為だけに手を加えていると思います。なんだかNHKの「ほんまもん」でも同じ様な話が。あともう少し。

以前、矢ズリ籐に黒っぽい所(それは節なのですが)があり、それがたまたま的のねらい所にきて、目印を付けた弓と同様にとられ、問題になったことがあったと思います。不思議とそこになってしまうのです。今度、銭湯なんかへ行ったとき、籐むしろがあったらよく見て下さい。だいたい一尺間隔位で節があるはずです。

それから、籐頭(矢がすっていく所)が減っていたら、早急に巻き直した方が良いと思います。矢羽根が痛みやすいし、第一弓具の手入れの一つですから。こんな事を書いたのも最近、籐屋さんへ見学へ行ったものからです。

籐を細く削る
何回も同じ作業を繰り、返し徐々に細くしていきます。
籐を編む
大きさによりますが、1個つくるのに2~3日かかります。
完成品
目が細かく芸術品です。

☆作業工程は他にもまだまだあります。

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002 職人の独り言(1)
003 温故知新「炭素繊維について」
004 弓と竹の話
005 夏のカケの手入れ方法
006 握り皮の話とフビライの妻の話
007 近代の系譜
008 テレビ放映
009 弦の話
010 直心館弓道場
011 2002年 新年のご挨拶
012 竹取りの感想・籐について
013 日本の弓
014 矢筈について
015 四半的弓道
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017 竹切り後の作業工程について
018 小笠原流の弓(1)
019 小笠原流式竹矢の製作行程
020 弓道を始める年齢について
021 くすねの使い方
022 環境問題と弓具
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033 和弓の材料としての竹(1)
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037 ヤダケについて
038 北本市の桜
039 初心者の弓具の選び方
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042 イーストン社・HOYT社工場見学
043 鷹狩り
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045 阿蘇の流鏑馬
046 2005年 新年のご挨拶
047 新文字入り弓巻
048 矯めなおしについて
049 新装開店致しました(1)
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051 2007年 新年のご挨拶
052 合串について