No.004
弓と竹の話
2001/07
弓師 馬場 篤光

竹といわれて普通皆様がイメージするのは、孟宗竹ではないでしょうか。中国の孝行息子「孟宗」が真冬に、病気のお母さんにおいしい筍を食べさせたいと祈ったら出てきたことから、孟宗竹と言われるようになったそうです。そういう話になるくらい筍がおいしく、大変繁殖力が強く、大きく、太く育つ竹です。しかし、残念ながら、脆く竹弓には使えません。

前回のコラムで、弓とカーボンの話をしましたが、竹弓の竹もどんな種類でも良いわけではありません。弾性の優れたしなやかな真竹を使っています。そして、竹の節が低く間隔が揃っていること、直径7~8㎝であること、通りが素直であること、厚みのバランスが良いこと、など様々な事を考慮し条件のあった三年目の真竹を選びます。

竹林の中では条件にあった竹が必ずしも密集して生えているわけではないので、探し回って見つけるのがなかなか大変です。これには長年の経験と勘が必要になります。乾燥した時期に竹を切り出さないと、竹が水を吸い上げて、材料の乾燥に時間がかかり、虫がつきやすくなります。そのため冬(11月~1月頃)に竹を切り出しています。寒さで体力を消耗される上に、弓に使わない部分の竹と枝をきちんと処理して、また良い竹が育つようにしていくのはかなりの重労働です。そして、竹を傷つけないようにトラックまで運ぶのもまた大変です。冬は1ヶ月近く、竹切りの仕事をしています。

また、九州の竹がよいと言われますが、関東・京都の竹も良い物です。気候風土が複雑に影響していて、産地だけで選び出せる物ではありません。私どもは関東の素性のよい真竹を選び抜いて使っております。その中にはシミのある竹もあります。これは天然素材のために仕方のないことであり、シミの有無は弓に何ら影響しません。曲がった人参と真っ直ぐな人参で味が違わないのと同じ事です。良い材料を無駄にしないためにも、シミのある素性の良い竹も材料として使っております。といっても見た目が気になるのも人情です。シミがある竹は、昔ながらの塗弓をつくるような工程で制作しております。

さらに私どもは無駄なく竹を使うようにしております。切り落とした長い端材から合串やくさび(弓を打ち上げるのに使います)を作り、小さな端材は炭焼の業者が竹炭にするのに使います。

このように竹弓をつくるために私どもは様々な努力をしております。皆様には弓の取り扱いに十分にご注意頂き、大事にしていただきたいと思っております。また、竹切りの経験をしてみたい方は、11月~12月頃お申し出下さい。但し、食事付き、日当 ¥0 です。また、切った竹で弓を \10,000 安くお作りいたします。

お取り扱いの際の注意点

最近、竹弓の上関板のところが折れる『首折れ』の破損事故がありました。化学繊維の弦で「は」を低くした状態で弓をひねりすぎると、弓がひっくり返ってこのような破損事故が起こり得ます。このとき中の芯材までも全て壊れてしまい、修理ができませんのでご注意下さい。

他にも、ご相談、ご質問等がございましたら小山弓具まで、お問い合わせください。また、カーボン入竹弓「清芳」もよろしくお願いいたします。

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弓道コラム(保管庫)
001 弓具を考える「巻藁」
002 職人の独り言(1)
003 温故知新「炭素繊維について」
004 弓と竹の話
005 夏のカケの手入れ方法
006 握り皮の話とフビライの妻の話
007 近代の系譜
008 テレビ放映
009 弦の話
010 直心館弓道場
011 2002年 新年のご挨拶
012 竹取りの感想・籐について
013 日本の弓
014 矢筈について
015 四半的弓道
016 七面鳥染め羽根について
017 竹切り後の作業工程について
018 小笠原流の弓(1)
019 小笠原流式竹矢の製作行程
020 弓道を始める年齢について
021 くすねの使い方
022 環境問題と弓具
023 2003年 新年のご挨拶
024 十年振り返って
025 京の旅と弓の詩
026 職人の独り言(2)
027 道具の手入れ方法
028 神田の話
029 弓書の限界について
030 神出鬼没・JAL機内誌
031 かけのできるまで(1)
032 かけのできるまで(2)
033 和弓の材料としての竹(1)
034 和弓の材料としての竹(2)
035 2004年 新年のご挨拶
036 袴の色々
037 ヤダケについて
038 北本市の桜
039 初心者の弓具の選び方
040 東京都インターハイ予選
041 暑中見舞い申し上げます
042 イーストン社・HOYT社工場見学
043 鷹狩り
044 埼玉まごころ国体にて
045 阿蘇の流鏑馬
046 2005年 新年のご挨拶
047 新文字入り弓巻
048 矯めなおしについて
049 新装開店致しました(1)
050 新装開店致しました(2)
051 2007年 新年のご挨拶
052 合串について